森下知幸監督の死去。常葉菊川でセクハラ問題と退任撤回の不祥事

森下知幸監督といえば、高校野球の名将として知られていました。

本人は浜松商業時代にキャプテンでセカンドとして春の甲子園で優勝。

常葉菊川の監督に就任してからは、今度は選手として春の甲子園優勝を経験しました。

その後は御殿場西高校の野球部監督に就任し、県内の中堅校まで叩き上げました。

2024年1月16日に62歳の若さで急逝されました。

今日は森下監督の死因と、常葉菊川時代について書いてみたいと思います。

森下知幸監督の死因は大動脈瘤破裂。早退→事後後に病院。ワクチンの噂はガセ?

森下知幸さんは2024年1月16日に大動脈瘤破裂で亡くなりました。

前日の15日までグランドで元気に練習に参加していたということで、文字通りに”急逝”でした。

16日の午前、腰と腹部に激しい痛みを覚えたため早退。

その後すぐに運転した自動車は学校近くの空き地に突っ込んだため、伊豆の国市内の病院に搬送。

運ばれた伊豆市内の病院で、午後11時39分に亡くなりました。

コロナワクチンで亡くなっっという噂もあった

森下監督が亡くなった当初、”ワクチンで亡くなった”との噂がありました。

当初は亡くなった際の状況の詳細までが報道されていなかった為、当時のトレンドであった”ワクチン陰謀説”に当てはめようとされたのです。

森下監督の死因となった大動脈瘤破裂とは、大動脈が動脈硬化などの原因でこぶができ、治療しないまま放置していると、こぶがさらに大きくなって破裂してしまう病気です。

生前の森下監督は酒好きとして知られ、大動脈瘤患者の日常生活留意点に、「激しい運動をしない」「過度のアルコール摂取を控える」とあります。

本人が「おいしい酒を飲むために、ノックで汗を流すんだよ」との発言もされていたことから、献身的なノックと大好きなお酒が大動脈瘤破裂に繋がったと見るのが自然です。

なので、ワクチン説は、ほぼガセネタであります。

森下知幸の過去のセクハラ事件。謹慎するもチームは夏の甲子園で準優勝

多くの関係者や教え子から愛された森下知幸監督ですが、高校野球ファンの間ではネガティブなイメージも持つ方も多くいます。

その主な原因が2008年に明るみになった”セクハラ騒動”です。

森下監督は、常葉菊川に就任した初期に、当時全盛期だった野球部を取材していた記者に対してセクハラ行為を行なっていたとしてニュースになったのです。

セクハラ騒動が公になると、高野連が静岡県高野連や校長らに事情聴取し、結果的に2008年の夏の大会終了までに謹慎処分となりました。

女性記者にセクハラ。「静岡の男は俺で決まり」「もう一度恋させてくれ」

森下監督のセクハラが明るみになったのは2008年5月ですが、セクハラが始まったのは2006年の12月からです。

2006年の10月〜11月に開催された秋の東海大会にて、常葉菊川は優勝を果たし、翌年の春選抜出場を確実にした後から、取材が始まり、その際に派遣された女性記者に対してセクハラ行為を行なっていたということです。

↓時系列で並べるこのような感じです。

2006年11月 常葉菊川が東海大会で優勝を果たし、翌年の春選抜を確実とし、専属の取材体制が敷かれる。
2006年12月 毎日新聞社の女性記者に「次はクリスマスイブの日にホテルを取ってから取材に来てよ」「2人で抜け出そう」と発言。
2007年〜 女性記者に対して飲食店やカラオケに誘い出して、を組んだりを握ったりという行為を行う。
2007年〜 女性記者が上司に相談し、監督と距離を置いて取材するように指示を受けるも、関係者から「女の武器を使って取材しなさい」と言われる。
2007年3月 常葉菊川が春の甲子園で優勝を果たし、報道の機会も増える。
2007年7月 常葉菊川は夏の大会で連勝し盛り上がり取材も続く。(8月に優勝し夏の甲子園出場を果たす)。
2007年8月 女性記者がうつ病にかかり休職に追いやられる。
2008年5月 セクハラ報道が明るみに出て謹慎処分が発表される。
2008年8月 代役の佐野部長が監督として夏の甲子園に出場し準優勝。

森下監督だけでなく、関係者からも「女性の武器を使って」という言動があったことから、女性記者は精神的に追い詰められてしまったのです。

女性記者としては、すぐに取材から離れたかったでしょうが、当時の常葉菊川は、春選抜で優勝し夏の地区予選も勝ち抜くなど、長丁場の取材となりました。

女性記者が夏の甲子園出場は決まったほぼ同時期に休職に追い込まれてしまうのも、無理はなかったと思います。

2008年5月に週刊誌から報道が出ると、その後に高野連の調査を挟み、森下監督は2008年夏の大会終了まで謹慎という処分が言い渡されました。

監督は部長を務めていた元中日の佐野心さんが代理で務め、チームは地区予選を勝ち抜き2年連奥で夏の甲子園に出場。

甲子園でも高校史上最高のセカンド・町田選手の活躍もあってから決勝まで駒を進めました。

現在では町田さん人気のおかげで2008年の常葉菊川は魅力的に見られてますが、実際はセクハラ事件でネガティブな目で見守っていた野球ファンが一定数いたのはあまり知られてない事実です。

甲子園出場が決まったのに辞任発表し大ニュース

2016年の常葉菊川は静岡屈指の強力打線で、甲子園出場が有力視されていました。

実際に大会が始まると2桁得点の嵐。

1回戦 10-0 磐田北
2回戦 8-4 掛川工
3回戦 12-2 浜松修学舎
4回戦 14-0 浜松西
準々決勝 5-2 東海大静岡翔洋
準決勝 12-0 常葉学園橘
決勝 12-0 袋井

接戦だったのは準々決勝の翔洋戦のみで、あとは余裕の大勝利でした。

7月26日に草薙球場で行われた袋井高校との決勝戦を大差で制すると、3年ぶり5回目の夏の甲子園出場を決めました。

多くの静岡県民が2007、8年以来の甲子園での大暴れを期待していたでしょうが、次の日の朝にとんでもないニュースが流れてきました。

騒動の発端は午前のミーティング。部員たちを集めて突然、監督の交代を伝えた。甲子園出発前の31日付で退任、高橋利和副部長に新監督を託し、甲子園で「高橋監督の下、暴れ来てほしい」と述べた。突然の人事にナインは動揺を隠せず、どよめいた。

自身は8月から御殿場西の監督に就任することが内定していたという。しかし、高野連は選手権途中で県内のライバル校に移ることを倫理的に認めなかった。

なんと、まさかの辞任発表!

実は8月1日付で、御殿場西高校への転勤が決まっていたというのです。

ということは、大会が始まる前から仮に甲子園に行けたとしても指揮しないと決めていたということでしょうか?

弱い世代のチームだったなら、そういう気持ちもわかりますが、当時の2016年世代のチームは甲子園に行けてもおかしくないメンツ。そう考えるビックリです。

27日に優勝して、28日に辞任発表。中には泣き出す選手もいたそうです。

辞任する理由については、自身と妻の体調不良、および、静岡県東部の自宅に戻りたいこと、なども含まれていたそうです。

そのような事情があるなら選手に言うタイミングがおかしすぎるという話です。監督曰く、なかなか言い出せなかったそうです。

その後、高野連の方から「道理的に間違ってる」として、甲子園での指揮も継続することを命令されました。

森下監督が退任撤回した理由

高野連からの声明もあり、さらには周囲からの要請もあったことから、会見にて甲子園での続行を発表しました。

28日の午前に選手に辞任のお知らせ、お昼に高野連から声明、夕方には監督続投の発表と、非常にバタバタした1日になりました。

この日17時からの会見で「学校から退任しないで欲しいという強い要請を受け、続ける運びになった」と今月末での退任を撤回。甲子園でも指揮を執ることになった。実際は、学校側から説明を受けた日本高野連から、道義的に監督交代は認められない、と“指導”が入り、渋々、甲子園が終わるまでの続投を受け入れた格好だ。その後は御殿場西の監督になる。

「お騒がせして申し訳ありませんでした」

会見でそう頭を下げた森下監督だが、スネには新たな傷が増えた。こういう指導者が名将ともてはやされ、引く手あまたというのだから、ファンは高校野球の薄汚い一面を改めて見せつけられた思いではないか。引用元:ゲンダイ

仮に高野連からの指導がなかったとしたら、本当に高橋副部長が監督の元で甲子園に行っていたことでしょう。

甲子園大会というのは、決勝まで勝ち残ったとしても1月も束縛はありません。僅か1ヶ月でも早く自宅から近い御殿場西での指導に切り替えたかったのでしょうか。

常葉監督として最後の甲子園での試合

森下監督の続行が決まり、無事に地区予選と同じ布陣で夏の甲子園に挑みました。

初戦の相手は熊本の秀岳館。互いに地区予選のチーム打率が4割越えと乱打戦が予想されていました。

森下監督はこの日、心の整理はできたかと聞かれ「もちろんです。今は一生懸命やるだけ」と説明し、大会後の去就について明言を避けた。主将の赤井啓輔内野手(3年)は「今があるのは監督のおかげ。恩返しがしたい」と気持ちを切り替えた。

試合が始まってみると、想像以上に秀岳館の投手陣が冴え、常葉はソロホームランの1点のみとして6−1で初戦敗退が決まりました。

それでも楽しそうの野球をする常葉らしいイケイケ野球が観れたということで、とても良い試合だったようにも思えます。下位打線からの1発など、常葉らしい足跡も残せたと思います。

森下監督の最後の常葉のユニフォーム姿が甲子園で終わったことは、良い締まりだったと思います。

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